薫る花は凛と咲く 第18巻 感想『心の中の違うところ』

画像は「薫る花は凛と咲く」第18巻より 作者/三香見サカ

ここでは薫る花は凛と咲く 第18巻の内容について少しだけ紹介します♪
気になるポイントを紹介しますので是非見ていってください!

あらすじ

将来の進路について、凛太郎に背中を押してもらい産婦人科医を目指すことを決心した薫子。
各々進路について方向性が決まってきた中で、朔が発したT大に行くかはまだ決めていないという発言に昂は少しだけ思うところがあるようで。
季節はどんどん進み、高校最後の夏休み、凛太郎たちにとって思い出深い海岸で以前のように楽しい時間を過ごす中、昂のある発言に朔の心は再び揺れ動くことになっていく。

本巻のテーマ

『これは恋なのか、それとも憧れなのか』

印象に残ったポイント

  • 保科昂が抱える違和感と朔に向ける気持ちの変化
    『T大行くって決めてないよ』
    朔の発したふとした一言で心の中がざわつく昂。その感情の正体がわからないまま普段通り彼と接していくことになるのですが、今までは無かった”ある違和感”が昂と朔の関係に変化をもたらし始めます。
    そして、その変化に昂自身は、気付きません。
  • 普段の自分を演じようとする朔とその内面
    かつて心の奥底にしまったある感情を昂の一言で再び表に引っ張り出されてしまいそうになる朔。
    その時、彼に浮かんだ感情があまりに切なく、優し過ぎて。。。
    感情を大きく揺さぶってくる荒波の中で、平静を保とうとする朔の強さと優しさがあまりにも痛々しく、リアルに表現されているのが本当に凄いんです。
  • 自分自身と真剣に向き合うことの大切さ
    ”違う、いつもと何かが違う”
    そんな違和感を抱えた昂はしっかりとそれと向き合うのですが、そのシーンがめちゃくちゃ良いです!ていうか、めちゃくちゃカワイイです(笑)
    ”どうして違和感があるんだろう”
    ”どうしていつも通りなのに違うって感じるんだろう”
    ”いろいろな言葉や表情が、彼にどんな風に伝わっていたんだろう”
    ”そして、それを伝える時に自分はどんな気持ちで、どんな表情をしていたんだろう”
    保科昂という人間は、夏沢朔に対してどうありたいのか、それにしっかりと向き合う彼女が最高なんですよ。

ストーリーの感想

凛太郎や薫子、他の面々もそれぞれの進路を決めていく中、朔は行きたい大学をまだ決めきれずにいたました。
『T大行くって決めてないよ』
そう何気なく発した一言は、本当に深い意味もなく、自分のやりたいことについて真剣に考えた上で決めたいという彼の意思表示に思えました。
しかし、一人だけ、保科昂だけは心の中にモヤモヤした気持ちを抱くことになります。
それは、朔の中学時代からの友人、飛鷹怜央の一件もあり、きっと彼がT大を受験するだろうと考えていたが故の驚きと、おそらくはショックに近い気持ちだったのだと感じます。
このモヤモヤの正体については昂の中で答えは出ず、小さなしこり(違和感)となって彼女の心の中に残り続けることになります。
そして、そのしこり(違和感)を抱いていることさえも彼女は自覚していないようなんですよね。
少しずつ歯車がずれていくような、ほんの僅かな変化さえも本作では見事に表現されていて本当に凄いの一言です。
なんだかわからないけれど、これ、絶対に良くない方向に進んでいるような気がする、といったようなとてもふわふわした気持ちにさせてくれるところが本当に凄いですね。
ええ!これどうなっちゃうの!?

そんな状況が続き、みんなで訪れる一年ぶりの海岸、そこは凛太郎が始めて自分の気持ちを薫子に伝えた場所、そして彼等が本当の意味で友達になった思い出の場所です。
そこで、あることが起こります。
昂が朔に対して発した何気ない一言によって、朔がずっと心の中で保ち続けていたバランスを崩していくことになるのです。

画像は「薫る花は凛と咲く」第18巻より 作者/三香見サカ

ずっと保ち続けていた静かな水面に、一滴の黒い水滴が落ちていく描写。
これは朔の心の声を表しているようで、とても悲しくて辛そうな様子が伝わってきますよね。
そしてこの表現凄い!凄すぎます(笑)
一年前は凛太郎の薫子を想う気持ちが、好きという言葉になって伝えられた優しい場所だったのに。。。

『あなたがいるのは 安心するから』

これも誰かを想うとても素敵な言葉のはずなのに、今回に限ってはあまりに残酷に感じられて、同じ言葉なのにある意味で対極な状況を作り出せる作者様凄すぎます。。。

昂の言葉に対して、『ありがと』と返した朔。
短い時間の、短い一言の中に込められた朔なりの精一杯の優しさ。
男の子が苦手だと語っていた少女。
目まぐるしい勢いで成長していく少女。
一年前からは比べ物にならないくらい強くなった少女。
彼自身を大きく成長させてくれた少女。
そして、そんな彼女を好きになった少年。
普通なら溢れ出してしまう無数の感情を必死に抑えた朔の姿が本当に切ないですよね。。。
そんな彼の姿をみて、昂は今までずっと心の中にあったしこり(違和感)の存在を認識します。
そして、それと同時に何かが徹底的に変わってしまったことを自覚するのです。

画像は「薫る花は凛と咲く」第18巻より 作者/三香見サカ

この出来事をきっかけに、昂は自分の中にある気持ちと真剣に向き合っていくことになりますが、その過程も細かくリアルに描かれていて最高なんですよ。
いずれにせよ、この言葉がきっかけとなり、おそらく二人の状況は今後大きく変化していくのは間違いなさそうですね。

キャラクターについての感想 

  • 夏沢 朔(なつさわ さく)
    一年前と比べるととても素直で優しい少年になりましたよね。
    勿論ツンデレであることには変わりないのですが、言葉足らずだったところが今ではしっかりと自分の気持ちを最後まで言うようになった感じがします。
  • 保科 昂(ほしな すばる)
    本作の中で一番成長していると言っても過言ではない彼女ですが、本巻ではまた一つ壁にぶちあたります。
    その壁を避けず真剣に向き合う彼女の姿は本当に格好良いと感じるのと同時に、今回の壁の性質上、可愛らしい面も見れて最高でした。

筆者の感想

薫る花は凛と咲く第18巻。
ずっと感じていたものが表面化した本巻では、人の感情をこれでもかとふんだんに表現されていてボリューム感が凄かったです。
朔の表情が切なすぎて、私の感情が。。。。
朔と昂、二人は今後どうなっちゃうの!?早く知りたい!

第19巻感想はこちら👇
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