薫る花は凛と咲く 第19巻 感想『背中を押してくれる人たちへ』

画像は「薫る花は凛と咲く」第19巻より 作者/三香見サカ

ここでは薫る花は凛と咲く 第19巻の内容について少しだけ紹介します♪
気になるポイントを紹介しますので是非見ていってください!

あらすじ

一年ぶりに訪れる、凛太郎たちにとってとても大切な思い出の海岸。千鳥と桔梗の垣根を越えて、皆が本当の意味で友達になった思い出の場所、そして凛太郎と薫子の関係が大きく変化した大切な場所で各々が楽しいひと時を過ごしていく。
そんな中、昂が朔へ発した一言で、彼がこれまで心の奥底にしまっていた気持ちが揺れ動き、二人の関係が動き始める。
時間はゆっくりとだけれど確実に流れていき、薫子の誕生日、受験で忙しい彼女に気を使い誕生日プレゼントを渡すだけのつもりだった凛太郎は、気付けば彼女の部屋で二人きりに!?

本巻のテーマ

『大切な人たちは、いつでも貴方を見守っている』

印象に残ったポイント

  • 生徒を導くということ、教育者の一つの在り方
    それぞれの進路を決め始めた凛太郎たちですが、それ自体がゴールではありません。これから先も沢山の壁や困難が待っているのは想像に難くないです。
    ですが、そんな彼らの背中をそっと押したり、暗闇の中でもがくその足元をそっと照らしてくれる存在として、在り続ける塚田先生という存在が本当に心強くて頼もしく感じました。
    生徒たちと肩を組めるような距離感で、アシストしてくれる。ここではそんな素敵な教育者としての在り方の一つをみることができます。
  • 父親として、人生の先輩として、大切な息子を誇りに思う瞬間
    ケーキを作りたいと、凛太郎が初めて言ってきたその瞬間から今に至るまで、その姿を一番近くで見てきた師であり父親でもある紬圭一郎。
    いつも口数少ないけれど、誰よりも凛太郎が目指す道を厳しいながらに導いてくれた存在が、そっと背中を押してくれる瞬間が本当に最高で、涙が止まりません。。。
  • 凛太郎が初めてリアルに感じた大人の世界
    自分の歩く道を見つけるために、凛太郎は新たなチャレンジをします。
    それは、これまで一緒に歩いてくれていた人たちがいない、厳しく険しい道のりです。
    いつか、誰でも必ず通らなければいけないその道の第一歩を踏み出す瞬間、そこで感じる社会の空気と凛太郎が感じる大人の世界が緊張感たっぷりで、読んでいて心臓のドキドキが止まりません(汗)

ストーリーの感想

本作は凛太郎たちの成長を歩くような速さで丁寧に描いた青春ストーリーですが、彼らを見守り、導き、背中を押してくれる”大人たち”にもしっかりとフォーカスした素敵な作品です。
本巻ではその魅力がこれでもかというくらい詰められていて、凛太郎たちからはまた違った視点で物語が語られています。
大人たち、かっけぇ。。。そんな言葉が自然と口に出てきてしまうこと間違いなしです。

三者面談のために、母親である紬杏子と共に学校へと向かう凛太郎。
担任の塚田先生も含めての場でパティシエを目指すために、どのような進路を選択すべきか話し合うことになります。
メインはやはり、どの専門学校に進むかですが、話し合いが進む中、ある違和感から専門学校に行くことが自分自身にとって最善の選択になりえるのかと、凛太郎は告白します。
その違和感の正体を彼自身はまだわかっていません。
ただ、その違和感に蓋をして前に進むことに抵抗を感じていた凛太郎は自分の気持ちをはっきりと母親と塚田先生に伝えるんですよね。
ここのシーンだけでも凛太郎がどれほど成長したのか伝わってきて、なんだか嬉しくなってしまいました。(ただの読者なんですけどね(笑))
高校三年生の夏休みで、進路を決め、それに向けてひた走る生徒がいる中で、まだそれを明確にできないことへの焦りや不安を口にする凛太郎に対して、塚田先生は

『あぁ わかった。気が済むまで悩め!』

そう言ってのけます。
焦らなくてもいい、とは言わない、だけどまだ時間はあるから夏休みの間にしっかり悩んで答えを出せばいいんだよと、そう言ってくれます。
今の時期はもう決まってないと・・・とか、もう他の子は決めているよ・・・とか、誰かを引き合いに出すことなく、凛太郎だけを見てそう答えてくれている感じがとても素敵ですよね。
もちろん、競争心で背中を叩いてくれる教師も悪いわけではないと思います。
ただ、凛太郎にとって、紬家にとって、これまでの学生生活の中で、孤独に過ごしてきた一人の少年に”君もみんなのように”ではなく、”君は君らしく”と言ってくれるこの塚田先生という存在が、とても大きく感じられたのはきっと気のせいではないのかなと思いました。
それと同時に、それよりも俺は・・・と続けて、凛太郎の意思を聞けたことが何よりも嬉しいと言ってくれます。
最高の先生過ぎてヤバイですね。。。
進路を決めることは、学生にとってある意味で卒業試験みたいなものです。
それはとても重要なことで、その入り口まで導いてくれる教師という存在は学生にとってとても大きな存在ですが、凛太郎自身が良い方向へと成長したことは、卒業後に続いていく長い人生の中でとても大きな意味を持っているのではないでしょうか。
そのことを嬉しいと言ってくれる素敵な教師のことを凛太郎はきっと生涯忘れないことでしょう。

画像は「薫る花は凛と咲く」第19巻より 作者/三香見サカ

三者面談を終え、改めて大きくなった息子の背中を見上げる紬杏子。
いつか誰かが、優しいこの子を見つけてくれないかと願っていたあの頃から比べて、沢山の友人や良き教師に囲まれた息子が映るその瞳があまりにも優しく、そして嬉しそうで。
最後の三者面談で、これからきっと凛太郎の人生に母親として深くかかわることもほとんどないのだろうと考える寂しさよりも、心も身体も見上げるほど大きく成長した息子にエールを送るその姿が何よりも格好良く感じました。

画像は「薫る花は凛と咲く」第19巻より 作者/三香見サカ

そして、もう一人、凛太郎を応援してくれる大きな存在についても本巻では語られています。
三者面談の時に、凛太郎が語っていた、ある違和感について、夏休みの間に彼なりに悩みながら一つの答えを導き出します。
それを兄の颯太郎も含めた家族全員の前で打ち明けて、自分のやりたいこと進みたいと思う道を明確に示す凛太郎に対し、いつも言葉少なく、不器用ながらに彼を応援してくれている父親がそっと言葉をかけてくれます。
家族だから、息子だから、きっとそれだけじゃない、凛太郎から受け取った言葉を、人生の師としてしっかりとかみ砕いた上で、『確信できたよ』という言葉と共に送られるエールに鳥肌が立ちます。
普段は母親の杏子が、がんばれがんばれ、と背中を押してくれる様子が見られますが、不器用で口数が少ない父親がここぞという場面で、想いを伝えてくれるシーンが本当に最高なんです。

キャラクターについての感想 

  • 塚田 慎(つかだ しん)
    生徒に近い目線で導いてくれる良き教師という印象が強いです。
    凛太郎にとってこの人との出会いはきっと、彼の人生を大きく変えるきっかけの一つになったことは間違いないですよね。
  • 紬 圭一郎(つむぎ けいいちろう)
    いつも言葉少なく、無表情なことが多いですが、本巻ではそんな彼の素敵な一面がこれでもかと描かれていて最高でした。
    印象はこれまでに抱いていたままですが、なんと表現したらよいか。。。
    父親として、人生の師として、不器用ながらに家族想う姿が可愛らしいんですよね。

筆者の感想

薫る花は凛と咲く第19巻。
大人たちってすげぇ。。。
第一声はまさにこれです。
これまで凛太郎たち学生の視点にフォーカスされることが多かった本作ですが、19巻では大人たちの魅力がこれでもかと詰まった巻になっています。
今回書かせていただいた感想の他にも、薫子の誕生日イベントや凛太郎が踏み入れる大人の世界の話といった、これまた重厚なストーリーが展開されています。
皆さんも是非この素敵な世界観に浸ってみてください。

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