薫る花は凛と咲く 第1巻 感想『紬凛太郎と和栗薫子』

画像は「薫る花は凛と咲く」第1巻より 作者/三香見サカ

ここでは薫る花は凛と咲く 第1巻の内容について少しだけ紹介します♪
気になるポイントを紹介しますので是非見ていってください!

あらすじ

地元では底辺男子高校といわれている『千鳥高校』に通う、二年生の紬凛太郎(つむぎりんたろう)は、根はとても優しく温厚な性格の持ち主だが、高身長、強面、金髪、ピアスという風貌で周りの人々から敬遠されていた。
そんな彼の実家は『Patisserie Plain』というケーキ屋で、時折店の手伝いしており、ある日、閉店間際の店内でもの凄い量のケーキを食べている少女、和栗薫子(わぐりかおるこ)と出会う。
彼女は千鳥高校のすぐ隣にある、由緒正しきお嬢様学校『桔梗女子高校』に通う生徒で、『千鳥と桔梗』の生徒はお互いを毛嫌いしていた。
そんな状態の中でも、薫子は嫌な態度一つ取らず、むしろ積極的に凛太郎に話しかけてくるようになる。
毛嫌いしているはずの千鳥の、しかも小さい頃から他人に敬遠されてきた自分に対して、優しく話しかけてきてくれる彼女に、徐々に興味を持ち始める凛太郎。
それに、薫子の方は今回会う以前から彼のことを知っていて??

本巻のテーマ

『薫子の想いと凛太郎が進みたいと願う道とは』

印象に残ったポイント

  • 凛太郎の諦めてしまう姿勢
    凛太郎は過去の辛い経験から自己肯定感が非常に低い人間です。そのため、何かを話したり行動したりする前に、諦めてしまう姿勢が目立ちます。
  • 薫子の只ひたすらにまっすぐな気持ち
    前述の通り、凛太郎はなぜ?が先行してなかなか自分の気持ちを言葉にすることができません。そんな彼とは真逆に薫子は自分の伝えたい言葉をガンガン言葉にしていきます。このことが、凛太郎の心の中で何重にもカギをかけた扉を開いていくことになります。
  • ”あなただから知りたいと思った”という薫子の台詞
    本巻の中で、『他でもないあなただから、私は知りたいと思ったんですよ』という台詞が出てきます。この言葉の意味を凛太郎が理解したとき、彼は自らの足で一歩ずつ自分の進みたい道に向かって歩き始めます。
    薫子の優しさに戸惑うことが多い凛太郎。桔梗に通う彼女が何故、千鳥の自分にリスクを冒してまで接してくれるのだろうかと何度も考えます。このことが彼女を傷つけてしまう原因になりますが、母親の叱責で薫子がなぜ『底辺高校に通う高身長、金髪、ピアスの強面男』に沢山の言葉をくれたのか理解していきます。

ストーリーの感想

本巻は、何事も諦めて静かに生きてきた少年、紬凛太郎と、そんな彼に自分の素直な気持ちを言葉で伝える少女、和栗薫子の出会いと相互理解をメインで描かれています。
普段、他人から好意を向けられることが少ない凛太郎にとって、自分を怖がらず、笑顔で話しかけてくれる少女の言葉に何か裏があるのでは、本当の自分を知ったら彼女もすぐにその笑顔を無くして離れてしまうのではと考えてしまいます。

凛太郎にとって薫子とは未知の存在であり、彼女の好意に対して、理由や意味を探すようになります。

薫子の言葉に対して、なぜ?なぜ?と自問自答する毎日。
彼にとって他人から好意を向けられるということは、慣れていないことで、過去の経験やトラウマから素直に受け取ることができずにいました。
自分は千鳥だから、デカいから、強面だから、どうしてこんな自分に笑顔を向けてくれるのか、凛太郎は理解ができないんですね。。。
高校生に限らず、人というのは自分を客観視することがとても難しいですよね。筆者も日々悩んだり考えたりしますが、気付くととても狭い視野で物事を考えてしまっていたりします。

そんなこんなで日々悩み続ける凛太郎は、自身の中にあった疑問を薫子に問いかけます。この行為が薫子を悲しませてしまうのですが、彼女のちょっとした表情の変化に、凛太郎は気付くんですね!
母親の言葉と後押しもあり、彼女ともう一度ちゃんと話し合うことになります。
そこで告げられるのは、千鳥と桔梗だからとか、強面だからとか、ケーキ屋だからとか、外聞なんて関係ない、そんなこと全部置いておいて、

他でもないあなただから 知りたいと思ったんですよ

という、真っすぐな言葉でした。
君自身のことが知りたいんだと、もうこれ告白ですよね(笑)

画像は「薫る花は凛と咲く」第1巻より 作者/三香見サカ
画像は「薫る花は凛と咲く」第1巻より 作者/三香見サカ

キャラクターについての感想

  • 紬凛太郎(つむぎりんたろう)
    本当に優しい少年だなというのが本巻を読み終えての印象です。自身のトラウマから他人の好意になれておらず、まず最初に『なぜ?』が出てきていろいろと考えてこんでしまうことが多いです。
    薫子の好意も例に漏れず、いろいろ考えこんでしまいますが、これは生来の彼の優しさがそうさせるのであって、もどかしさは感じますがどこか温かい気持ちにさせてくれる少年です。
  • 和栗薫子(わぐりかおるこ)
    元気いっぱいの沢山食べる女の子。
    心の内に芯を持っており、他人の本質をしっかりと理解しようと努力する少女というのが本巻を読み終えての印象です。
    本巻では彼女の強さが非常に目立っていました。

筆者の感想

薫る花は凛と咲く第1巻。
筆者が海外に行っている時に、ふとホテルでやることがなくてネットで漫画を探していた時に見つけた作品です。
読んでいる最中に、凛太郎や薫子の台詞や考えていることに対して、わかるわぁって何回も口走りながら気が付いたら読破していました(笑)
言葉にすることが非常に難しいのですが、本作の絵は優しい中に、表情で読者の感情を揺さぶる強さもあると思います。
物語に絵がマッチしていて本当に素晴らしい作品です。
凛太郎と薫子の物語はまだ始まったばかりです。これから沢山の人たちと関わっていろいろなことを経験していくのだと思いますが、彼らが辿り着く先をとても楽しみにしています。

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