
作者:福田晋一
ジャンル:コスプレ、恋愛、ラブコメ、青春、学生
掲載誌:ヤングガンガン
連載期間:2018年 1月19日~2025年 3月21日
刊行巻数:14巻(2025/07/06 現在)
あらすじ
祖父が経営する雛人形屋で、雛人形の頭師を目指す高校一年生の『五条新菜(ごじょうわかな)』は、雛人形好きという趣味を持つが故に、幼少の頃より友人ができず孤独な日々を過ごしていた。
高校デビューした後も状況は変わらず、雛人形づくりの修行に日々明け暮れていた。
そんなある日、家にあるミシンが故障し、新しいものが来るまでの間、学校の家庭科室にあるミシンで作業をすることにした新菜。お守り代わりに持ち歩いている雛人形の頭に語り掛けるいつもの癖を、偶然家庭科室に入ってきたクラスメイトの『喜多川海夢(きたがわまりん)』に目撃されてしまう。
その麗らかな見た目と、コミュケーション能力からクラスの人気者である彼女に、雛人形に語り掛ける姿をみられてしまった新菜は当然ひかれてしまうことを想像するが、彼女から帰ってきた言葉は『すっごーーーーーーーい!!』という予想外のもので!?
そして新菜が雛人形の服作りができると知った海夢は彼にコスプレ衣装を作ってくれないかと提案する。
自分とは正反対の世界で生きている人間だと思っていた彼女の、好きなことに全力で取り組む気持ちに、自分の気持ちが重なり、衣装づくりを引き受けることになる。
おすすめのポイントを三つ紹介!
- 『新菜(わかな)&海夢(まりん)』!性格が正反対の二人の恋愛模様
本作は雛人形の頭師を目指し、日々修行に明け暮れているが故に、同年代の誰とも話や趣味が合わず友達がいない少年、新菜と学校一の人気者で常に周りが人で溢れているギャル、海夢という普通なら絶対に交わることのない二人の恋愛模様を描いた作品です。
ですが、本作の面白い点として、海夢がギャルであり、重度のアニメ、エロゲーオタクでもあるという点です。
二人が持つ自分が大好きなものを通じて彼らは互いを知り、想いを通わせていくことになります。 - コスプレという文化をこれでもかと詳細に語っている作品
皆さんは『コスプレ』と聞くと何を思い浮かべるでしょうか?
筆者は、アニメキャラクターの格好をした人という、自分のボキャブラリーの無さに絶句しているところですが、本作品はコスプレとは?をこれでもかというくらいに深堀してくれています。
何のためにコスプレするのか、するためにどんなことをしているのか、撮影のための機材は等々、非常に事細かに語られているのでビックリしますよ(笑)
上記に加えて、新菜&海夢の二人が独自のアプローチ、考えを織り交ぜて『コスプレ』という文化に向き合っていく姿は必見です! - 自分の好き、人の好きを受け入れる姿勢
本作は沢山の『好き』という感情で溢れた作品となっています。
主人公の新菜をはじめ、過去に自分の『好き』を否定されてしまった経験を持つ人たちが登場します。
そんな過去の傷を抱えたまま、それでも自分の好きを諦められない、でもそれを口に出してしまうことでまた否定されてしまうのでないかという恐怖心を抱えたまま日々を過ごしている状態ですね。
そんな『好き』と真っ向から向き合い、そして彼等がどんな道を見つけ、進んでいくかが緻密に描かれた最高の作品です!
どんな人におすすめ?
- 最高の恋愛ラブコメを読んで、恋したい!って思っている方
- コスプレは知っているけれど、その深淵を覗きたい方
- 自分の夢を持って、人生を最高ハッピーにしていきたい方
イラスト!!
- ヒロインがめっちゃ可愛い!!!!!

- 登場人物たちの成長が緻密に表現されている

キャラクター紹介
- 名前:五条 新菜(ごじょう わかな)
- 登場巻:第1巻~
- 立ち位置:本作の主人公
【紹介】
祖父が経営する雛人形屋で、雛人形の頭師を目指す高校一年生。
同年代の誰とも話や趣味が合わず友達がなかなかできない。
基本的に波風を立てることを好んでおらず、自分が嫌なことでもそれで解決するならばと受け入れてしまっていたが、それをクラスメイトの喜多川海夢に指摘され、それをきっかけに自分自身を見つめ直すことになる。
根はとても優しく手先がとても器用なため、海夢にコスプレ衣装の作成を頼まれるが、彼女の素直な気持ちと自分の気持ちを重ね合わせた結果、自分の意志で協力することを決める。
好きなものは雛人形。
- 名前:喜多川 海夢(きたがわ まりん)
- 登場巻:第1巻~
- 立ち位置:本作のヒロイン
【紹介】
新菜のクラスメイトで、学校一の美少女にして人気者のギャル。
しかし、それに加えて重度のアニメ、エロゲーオタクでもあり、それを友人たちに隠さず公言している。
自分の好きは全面的に押し出していくタイプで、超絶イケメンでもそれを否定してくるものなら容赦なく反撃する強い一面も持ち合わせている。
食生活は壊滅的で炭水化物+肉が基本構成になっていたが、新菜とコスプレ衣装の作成をすることになった後は、かなりの頻度で五条家でバランス良い食事をとるようになった。
好きなものはアニメ、エロゲー、かわいいもの。
- 名前:五条 薫 (ごじょう かおる)
- 登場巻:第1巻~
- 立ち位置:新菜の祖父
【紹介】
新菜の祖父で、雛人形職人にして五条人形店を経営している。
両親がいない新菜にとっての育ての親であり、自分のやりたいことに真っすぐに取り組む彼をいつも応援している。
- 名前:乾 紗寿叶(いぬい さじゅな)
- 登場巻:第2巻~
- 立ち位置:海夢が憧れるコスプレイヤー
【紹介】
『ジュジュ』というコスネームで活動する、ネット上で人気のコスプレイヤー。
海夢の憧れの存在でもある。
学年は新菜&海夢の一つ上の高校二年生だが、童顔かつ小柄な体格故に中学生と間違われることが多い。
コスプレに対して自身の信念を持っており、それがきっかけで新菜たちと関わっていくことになる。
- 名前:乾 心寿(いぬい しんじゅ)
- 登場巻:第3巻~
- 立ち位置:紗寿叶の妹
【紹介】
紗寿叶の妹であり、中学生。
姉とは対照的に身長は178cmと中学生にしてはやや大柄なことに加えて、体格も同年代の子と比べて非常に大人びている。
本人はそのことを非常に気にしており、そのことが原因で自身の持つある気持ちを心の奥底に隠してしまっている。
読んだ感想・レビュー
『その着せ替え人形は恋をする』というタイトルと表紙を飾る本作のヒロイン、喜多川海夢に一目惚れしコミックスを購入して読んだ感想としては、『なにこれ、想像していたよりも何倍も面白い』というものでした。
一巻を読んだ後に改めてタイトルについて考えてみると、センスが凄すぎてこれ以上のタイトル絶対に思いつかないでしょう、と感じました(笑)
本作は雛人形の頭師を目指し、日々修行に明け暮れているが故に、同年代の誰とも話や趣味が合わず友達がいない少年、新菜と学校一の人気者で常に周りが人で溢れているギャル、海夢という二人が、コスプレという現代カルチャーを通して、共に学び協力し、時には喧嘩しつつ、徐々にお互いの心を通わせながら一つの目標に向かって全力でかけていく姿を描いた青春ストーリーとなっています。
過去の経験から自分の『好き』を前面に押し出すことができない新菜は、クラスの人気者で自分の『好き』を公言し前面に押し出す海夢を『同じ教室の中で、自分とは真逆の世界に生きている人』と表現しています。
きっとそれは、嫉妬にも似た憧れの気持ちを表現しており、更にある日の放課後、クラスメイト達から掃除を押し付けられ文句も言わずに作業していた新菜は彼女から、他人の為に自分が嫌なことを嫌と言わずにやることは絶対にしてはいけない。
『自分の気持ちは自分の為に言わなきゃダメだよ』
そう告げられます。
この言葉がずっと彼の心の中で残り続けることになります。
そんなこと言われても、じゃあどうすれば良いんだよって思うのと同時に、それが図星だから悔しいんだよねという想いがあって、ますます憧れという気持ちが大きくなっていくんですよね、わかりますその気持ち(笑)
しかし、ある日をきっかけに初めて自分の『好き』を海夢に告白した新菜。きっと受け入れられて貰えないそう思っていた彼の考えとは裏腹に、なんと彼女のリアクションは180°真逆のものだったのです。
初めて、家族の人間に自分の『好き』を受け入れて貰えた時の彼の高揚感はきっと計り知れないものだったと思います。
それと同時に、いつも自信満々で誰からも人気な彼女の不器用で、でもとても真っすぐな気持ちを知って新菜はこれまで別の世界で生きていた彼女が実は自分と同じ世界にいる普通の少女だということに気付いていきます。

この瞬間の『これ始まったな』という高揚感が本当に凄いです。
お互いの『好き』を知って、それを全力で応援したい、力になりたいという思いから二人の二人三脚での旅が始まっていきますので、皆さまもぜひ二人の青春を見届けてください。
海夢ちゃん、本当にかわいいです(笑)
