
作者:こだまはつみ
ジャンル:社会人、日常
掲載誌:ビッグコミックスピリッツ
発表号:2023年20号~
刊行巻数:4巻(2025/10/14 現在)
あらすじ
社会人三年目の伊東紀理(いとうきり)は、膨大な量の仕事に追われ、上司にセクハラ、モラハラを受ける日々を送っていた。
『役に立つ人間になりたい』
その一心から、自分の気持ちを心の奥底に押し込み、身体が悲鳴をあげながらも期待に応えようと必死に努力していた。
そんな彼女の努力とは裏腹に、人々は、社会は、彼女をどんどん苦しみの窮地へと追いやっていき、遂に心の決壊が訪れる。
人々が、社会が、歩み寄ろともしてくれない世界の中で、誰にも見つけてもらえず一人孤独に消えていく、そんな人生になんの意味があるのか??
自分の人生に価値はあるのだろうか。
見つけることはできるだろうか。
限界社畜OLが贈る、人生総決算ストーリー。
おすすめのポイントを三つ紹介!
- 限界OLが生きる権利をこじつけて、好き放題やっていく爽快ストーリー!
主人公である伊東紀理(いとうきり)は誰かの役に立ちたい、その一心で沢山の理不尽に耐えながらこれまでの人生を生きてきました。
クズな彼氏、セクハラモラハラ上等の上司、そして自らが敷いてきた理想の姉というレールの上で遂にその心が限界に達する時を迎えます。
生きている意味を完全に見失った彼女が、それでも生きる理由をこじつけて、今までしてこなかった人生を歩いていく、180°逆方向に舵をきった人生を描いたストーリーが爽快感満点で最高なんです。 - 人生の総決算、そしてその先に待つ景色とは何か
どうでもいい誰かに歩かされていた人生から、自分で歩く人生へ。
紀理は、これまでの人生を決算するために、模造紙一枚にマジックペンで”やることリスト”を書き出していきます。
小学生時代に借りパクしていた物を返すこと、昼酒(平日の昼間からお酒を飲むこと)すること、その他沢山の事を書き出した人生の縮図を基に展開されていくストーリーとそれを彩る個性豊かな登場人物たちが非常に魅力的です。
そして何より、”やることリスト”を越えた先に待つ彼女の終着点がとても気になりますよね。 - コメディーとシリアスが調和した重厚なストーリーは常に考えさせられる
本作は日常描写がコミカルに描かれつつも、ストーリーが非常に作りこまれておりとても考えさせられる作品です。
文章がやや多めですが、コロコロ表情が変わる主人公や、読者をドン引きさせるほど、やりたいことに全振りする主人公を面白おかしく描写しているシーンからのシリアスへの流れが非常に丁寧に表現されていたりと、とても読みやすくなっています。
また、今まで選んでこなかった道を進むことで、これまで見えていなかった一面と向き合い葛藤していくストーリーはとても考えさせられます。
どんな人におすすめ?
- 社会の荒波に揉まれている人
- スカッとした展開が好きな人
- コメディーとシリアスどっちも欲しい人
イラスト!!
- 日常描写が繊細に描かれていて良い!

- 格好良く描かれていますが、競馬観戦してます。

キャラクター紹介
- 名前:伊東 紀理(いとう きり)
- 登場巻:第1巻~
- 立ち位置:本作の主人公
【紹介】
25歳元OL。
彼氏と会社の上司から日常的にセクハラやモラハラを受け、仕事も大量にこなしていたため心身共に限界を迎え、生まれ変わることを決意する。
自分の人生を総決算するために、やることリストを作成して、日夜そのタスクを消化するために行動するようになり沢山の個性的な人物たちと出会うことになる。
家族構成は両親と、大切な弟がいた。
- 名前:夕香(ゆか)
- 登場巻:第1巻~
- 立ち位置:北山酒店の娘
【紹介】
父親が経営する酒店で働く19歳。
6年前に轢き逃げで母親をなくし、その時の事件がきっかけで父親がおかしくなってしまっている。
その父親を捜している最中に紀理と出会う。
意気投合した紀理とひょんなことから轢き逃げ犯を探し出す同志として手を組むことになる。
- 名前:西野 大(にしの だい)
- 登場巻:第1巻~
- 立ち位置:紀理の学生時代の友人
【紹介】
小学生時代に同級生だった人物。
保険会社で働いており、お客さんが損をしないように動く優しい人間。
久しぶりに再会した紀理が昔のような性格に戻っていることに喜びを感じている。
実は紀理の事が好きなようで。。。
- 名前:葛西 岳(かさい がく)
- 登場巻:第2巻~
- 立ち位置:紀理がパチンコ店で出会った男
【紹介】
紀理が公共ギャンブル制覇という目標を掲げ、初めてパチンコ店に入った時に偶然出会った男。
脚本家をしており、その関係の事になると非常に癖が強い。
ギャンブルに日和気味だった紀理を上手く煽って共に競馬で白熱する。
読んだ感想・レビュー
限界社畜OLが自分の命の価値を規定して、それを担保にこれまでの人生を180°反転させて好き放題生きていく総決算ストーリー、『この世は戦う価値がある』。
本作は、ギャグとシリアスが見事に調和しており、考えさせられるストーリーも非常に奥深い神作です。
姉として大切だった弟を守ることが出来ず、その後悔から誰かの役に立ちたいと常に考えて行動していた本作の主人公、伊藤紀理。
しかし、現実はそんな彼女から沢山のモノと時間を搾取していきます。
ボロボロになった紀理が、彼氏の浮気現場を目撃した瞬間に全てがどうでもよくなり、泣きながらこれまで溜まっていた不満を叫ぶシーンが印象的で、ここから生まれ変わる主人公がまた衝撃的でした。
序盤の序盤から衝撃的な展開が多くて、怒り、悲しみ、笑いといった沢山の感情に心を揺さぶられながら、この後この主人公どんな事やってくれるんだろうという期待感が凄まじいです。

そして、ここから彼女は生まれ変わります!
やられるだけの人生はここで終わりです。
まず最初にやることは、やることリストを模造紙一枚に書き出します。
次に、髪の毛をオレンジに染めます。
お気に入りのスカジャンを着て会社を辞めに行きます。
会社に辞表を叩きつけた帰りに金属バットを買いに行きます。
買った金属バットで彼氏をぶん殴りに行きます。
凄過ぎませんか?(笑)
これだけの事を第一話で全てやります。『一巻』ではなく『一話』で全てやります。
最初からフルスロットル過ぎて、私は一瞬で本作に引き込まれました。
そんな衝撃的な行動の裏にあるのは、彼女が自分自身で決めたルールとそれにより生まれた権利によるもので、そのルールとは臓器提供に署名すること、これにより自分はいずれ11人の人生を救う、だから好きに生きる権利を持った、というものです。

いや、何その解釈、と彼氏にも突っ込まれていた紀理さんでしたがそこは華麗にスルー(笑)。
でもこれはきっと、沢山辛い目にあってきた彼女がそれでも自分の人生から逃げず(おそらく逃げたかった)に、ただ好き放題生きていくだけではなく、誰かの役に立つことを担保に好きに生きていきますよっていう宣言なのだと感じました。
『誰かの役に立ちたい』
その誰かに散々泣かされてきて、それでもそう思う彼女の姿が本当に格好良いんですよ。。。
自らを伊東マークⅡとして、新たな人生を歩み始める彼女はこれから沢山の個性的なキャラクター達と出会い、そして今まで見ていた一面だけではなく、別の面からこれまでの人生を振り返った時に感じることとは何か?
そしてやることリストを全て消化した先に待ち受ける彼女の運命とは?
読み進めていく中でどんどん続きが気になる重厚なストーリーの中にこれからも使っていきたいと思う作品です。
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